通常は消費税率が先にあってそれを使って消費税額を求めるのですが、
最近、逆に本体価格と消費税額のみから消費税率を求める場面に直面しました。
年月があれば簡単ですが・・・この機会に来年秋には10%への引き上げが迫って
いる消費税率を本体価格と消費税額のみで算定できるかを考えてみます。
◆こんな時
本体価格と消費税額から消費税率を求める。
◆解決ポイント
過去の消費税率(3%,5%,8%)を前提とします。
単純に消費税額を本体価格で割っただけでは求められません。
今回はVLOOKUP関数で近似値から消費税率を求める方法を示します。
◆解決方法
まず消費税額の特徴を頭に入れておきましょう。
消費税額は計算結果の1円未満の扱いは事業者に委ねれらています。
つまり、切り上げ・四捨五入・切り捨てを選択できますが
ここでは一例として「切り捨て」を選択している前提で話を進めます。
この場合、本体価格が消費税率で割り切れるときは問題ありませんが
割り切れない場合は小数部が生じても切り捨てられてしまいます。
したがって元の値を知ることができません。ここは重要なポイントです。
実際にシミュレーションをしてみます。仮に本体価格を10円とすると、
消費税率が 3%(懐かしい)の場合は 0.3円
消費税率が 5%(少しまえ)の場合は 0.5円
消費税率が 8%(いま現在)の場合は 0.8円
消費税率が10%(はや来年)の場合は 1円となります。
すでにお気づきのように 3%から 8%までは1円未満となり
実際の消費税額は 0円になります。
当然この結果からは正しい消費税率を求めることはできません。
ではいくらであれば本体価格と消費税額だけから消費税率を求めることが
可能なのか?
仮に単純に上記の本体価格を10倍した100円で同様に計算すると、
それぞれ3円、5円、8円、10円となり税率を判別できる値になります。
このことから求める値は10円と100円の間にありそうです。
実はこのような場合は最小公倍数を求め、その値を一番小さい要素(値)で
割った結果が求める値となります。
因みに 3、5、8、10 の最小公倍数は 120 です。
3 が一番小さい要素ですので 120 を 3 で割ると 40 になります。
したがって40円以上の値(本体価格)であれば年月に頼らずに
消費税率を求めることができそうです。
実際に消費税額を計算してみると・・・
40円の 3%は 1.20(円) 消費税額は 1円
40円の 5%は 2.00(円) 消費税額は 2円
40円の 8%は 3.20(円) 消費税額は 3円
40円の 10%は 4.0(円) 消費税額は 4円
ときれいな結果が得られました。
またこの時の実質税率を上記の消費税額から求めると
3%の場合は 1円÷40円×100=2.5%(≒3%)
5%の場合は 2円÷40円×100=5%
8%の場合は 3円÷40円×100=7.5%(≒8%)
10%の場合は 4円÷40円×100=10%
となり消費税額からの逆算では変動(誤差)があることがわかります。
更に考察すると40円以上での消費税率(%)の最低率は次の通りでした。
3%の場合、66円のときの 1.515%(消費税額=1.98円 を 1円とするため)
5%の場合、59円のときの 3.389%(消費税額=2.95円 を 2円とするため)
8%の場合、49円のときの 6.122%(消費税額=3.92円 を 3円とするため)
10%の場合、49円のときの 8.163%(消費税額=4.90円 を 4円とするため)
ここまでの結果を踏まえ下表のように整理することができます。
上の表名を「換算表」として次の式を記述することで消費税率が得られます。
=VLOOKUP(ROUNDDOWN(消費税額/本体価格*100,2),換算表,2,TRUE)
・ROUNDDOWN関数で消費税額/本体価格*100を小数第2位までとします。
・その数値からVLOOKUP関数の近似値参照で換算表の消費税率を取得します。
以上から本体価格が40円以上の条件を満たすケースであれば年月が無くとも、
上の表と式から消費税率を求めることが可能であることがわかりました。
(考察結果)
本体価格が40円以上なら消費税額を本体価格で割り100倍した値を元に
過去の税率から正しい消費税率を求めることができる。
参考
40円未満でも8%と10%に絞れば10~12円、20~24円、30~37円は判別可能。
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それではまた来週。